環境問題と戦争 その1


八木澤秀記 高千穂大学 理学博士
物理学から見るエネルギー問題・環境問題について研究している。自宅の軽井沢では農業を営み、自然との調和したライフスタイルの実践をしている

エントロピー論で述べる予定だったけれど、事態を鑑みてここでこの問題を少し触れたい。(資料は揃える時間がないので、もう少し待って頂きたい)
エネルギーと物質の一方的劣化は避けられないなら、その劣化を遅らせる以外に環境汚染(環境劣化のことでもある)の進行を鈍らせる手立ては無い。ところが、最も効率良くこれらの劣化を進行させるのが戦争と軍事産業なのだ。
悲惨な戦争を止めようという主張は、間違いなく無関係な人々の死を念頭に置くから、骸となった乳飲み子を抱いて涙も涸れた深いしわの母親が移し出される。しかし環境劣化を嘆く主張はまず見当たらない。
現実の経済活動と軍需(産業及び戦争)の決定的な差は、前者が市場原理に従うのに対して後者は従う必要が全くないことにある。
商品を作るときは買って貰える価格にするために、無駄を無くし、出来る限り効率を上げる。競争相手があるときはその傾向はさらに拍車がかかる。この過程は原料の無駄、エネルギーの無駄を切り詰めることだからエントロピーの増大を少しでも減らそうという努力でもある。
軍需はその逆で、化粧品に似たところがあって、高ければ高いほど優れものという幻想を持たれている。 
見方を変えれば無駄様々で、どうせ税金で払うから気にしない。
切り詰める努力をサボればサボるほど儲かるシステムである。
よく知られたステルス爆撃機は重量が50トンで価格は金50トンより高いという。それでステルス(隠密の意でレーダーに写らないということから付いた名)かというとさにあらず、レーダーに写ることが判明した。 
そこを突かれた国防省スポークスマンは
「大丈夫、敵のレーダー網を壊滅してから出撃するから。」
「では、ステルスである必要はどこにある?」
「そんなこと知るか!」
高速艦艇のエネルギー消費は速度の3乗に比例すると言われる。 
速度が2倍になると燃料は2の3乗の8倍が必要になる。3倍ならその3乗の27倍。水の抵抗が大きくなって、打ち勝つためのエネルギーに殆どが使われるからだ。 戦闘機、爆撃機も基本的には同じ。 
アフガニスタンでも使われたデイジーカッターとい名の気化爆弾は広範囲にわたって地上付近の酸素を奪うものだし、今回使用すると言われている新型爆弾MOABは広島型原爆(12000トン)を上回る20000トン以上で気化爆弾を上回る。
どれもこれも悪魔の環境テロに他ならない。
長年取り組んできた省エネ、植林、温室ガスの削減などを一瞬にして吹き飛ばす悪魔の所業に他ならない。
地上の資源を最大限投入して最大限の破壊と環境テロを実行するのがアメリカの戦争の実態である。(続く)


日時 2003-4-23 6:50:03
環境コラム: エントロピーで見る環境問題
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