ヒートアイランドをやっつけろ!
| | ヒロ ヒラタ エコプチテラス管理人。最近はボランティアが自立してやることがなく、もっぱら回転テーブルでお茶を飲んでいる。エコプチが縁で飼われたモカは、主人より餌をくれるスタッフになついているらしい。 |
ヒートアイランド対策には熱の性質を知ることが不可欠
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記録的な猛暑だった今年の夏。特に東京はヒートアイランド現象との相乗効果もあって、観測至上最高の記録を出すなど、うだるような暑さが続きました。夜でもエアコンをつけていると、体調もおかしくなり、食欲もなくなってしまいます。 何とかエアコンに頼らずに家を涼しくする方法はないのでしょうか?そこで今回は、株式会社チームネットの甲斐 徹郎(かいてつろう)さんの講座で教えていただいた熱の不思議を紹介します。効果的なヒートアイランド対策を行うには、まず熱について知る必要があります。
○熱が伝わるスピードを知る実験 熱の不思議を体験するために、いくつか実験をして見ましょう。 紙コップとガラスのコップを用意してください。用意できたらふたつのコップを交互に両手で握り締めてください。 質問 「ふたつのコップを握ったときの温度差はどれくらいでしょうか?」 1、 なし 2、 1〜2度 3、 3〜5度 4、 5度以上
ガラスのコップのほうが冷たいと感じた人がほとんどだと思います。しかし正解は「1、なし」です。同じ気温のところにおいてあれば、物質の温度に変化は見られません。 では、なぜガラスのコップのほうが冷たいと感じるのでしょうか? それは「熱が伝わるスピード」と関係があります。紙と比べてガラスは熱の伝わり方が早く、急激に手のひらの熱を奪うため「冷たく感じる」という訳です。 このような例は他にもあります。例えば26度という温度。部屋の温度であれば快適ですが、風呂の温度だと鳥肌が立つほど冷たいですね。これは空気と比べて水のほうが熱を早く奪うからです。 同じ温度でも熱が伝わるスピードによって、涼しく感じたり、熱く感じたりすることがこの実験からわかると思います。
○気化熱が体を冷やす実験 次の実験です。片方の腕を水で濡らし、両腕を扇風機の前に出してみてください。 質問 「水に濡らした腕と濡らさない腕のどちらが涼しいですか?」 1、 水に濡らした腕 2、 水に濡らしていない腕
おそらくほとんどの人が「1、水にぬらした腕」と答えるでしょう。これは水が肌から体温を奪っているだけでなく、「気化熱」によって体温が奪われているために起こります。「気化熱」とは液体が気体になるときに周りから吸収する熱のことです。注射をするときアルコールを含ませた綿で消毒されるとヒヤッとしますが、あれは液体のアルコールが蒸発するときに、体温を奪うからです。打ち水をすると、水が蒸発するときに土の温度を奪うので気温が下がるのと同じ原理です。 外で汗をかいたまま、クーラーが効いた部屋に入ると震えるほど寒く感じるのは、汗が乾くときに体温を奪っていくからです。 そもそも人間が汗をかくのは、気化熱を利用して体温を一定に保つためだと言われています。いつもクーラーの効いた部屋にいると汗のかき方が下手になり、体温調節ができなくなってしまうと言われています。ポタポタと落ちるほどの汗を大量にかいている人は、汗が体温を一定に保つためのものであるという見方からすれば、気化熱によって体温を吸収することができないので「汗のかき方の下手な人」ということになります。
○輻射熱を知る実験 最後の実験です。両手を合わせて思い切り擦り合わせてください。手の汚い人は垢が出ます(笑)。両手を耳に触れずに、近くまで当ててみてください。 質問 手の熱が耳に伝わりますか? 1、 はい 2、 いいえ
ほとんどのひとが伝わったと思います。手のひらの熱「熱線」が、空気を通じて直接耳に伝わったのです。 電車に乗っていると、となりに汗をいっぱいかいた太ったオッサンがやってきました。そんなとき「なんとなく暑いなあ」と感じたことはありませんか?それはオッサンの体からでる熱線が、空気を伝ってあなたの肌に突き刺さっている証拠です。なんとなくリアリティがあって怖いですね。 アスファルトの上に立っていると暑いのは、太陽からの直射日光に加え、アスファルトからの輻射熱が当たり、ダブルの熱を浴びるためです。アスファルトに近い子供にとっては危険な場合すらあります。
以上のように、熱について 「熱の伝わるスピードによって感じる温度が変わる」 「水分が蒸発するときに気化熱が吸収される」 「輻射熱の効果は大きい」 ことがわかりました。 熱の性質について知ることができると、それを利用した対策が可能になります。ちなみにエコプチが周辺の住宅よりも1〜3度気温が低いのも、熱の性質を利用した対策をしている結果なのです。次号では、家庭でもできる簡単気温抑制術をご紹介します。
参考サイト:株式会社チームネット http://www.teamnet.co.jp/teamnet/home.html
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日時 2004-8-27 13:00:56 環境コラム: ストップ・ザ・地球温暖化&ヒートアイランド この記事が掲載されているURL: http://www.greenproject.net/modules/wfsection/article.php?articleid=51
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