リサイクルから4Rへ
| | ヒロ ヒラタ エコプチテラス 管理人 |
リサイクルから4Rへ
みなさんは「リサイクル」という言葉を聞いたことがありますか? もう知ってる?もうやってる?そうですか、ずいぶんと浸透しているようですね。「recycle」は英語で、もう一度をいう意味のreと循環という意味のcycleが合わさった言葉です。日本語でいうと再利用ですね。 ところで皆さんにひとつお聞きしたいのですが、リサイクルっていいこと、悪いこと?おそらくみなさんの多くは「いいこと!」と大きな声で答えることでしょう。けれども、これがドイツだったら、「まあ、しゃーないやね」という答えになるでしょう。どちらもYESではありますが、2つの答えには温度差があるようです。この違いはなんでしょう。環境先進国であるドイツではなぜリサイクルがそれほど歓迎されないのでしょうか?
自動販売機で買ったジュースは空き缶専用のゴミ箱にいれ、リサイクルされます。使い捨てられるよりもずっといいことです。「使い捨てないようにリサイクルする」この考え方は非常に正しいのですが、リサイクルには困った側面もあるのです。リサイクル用のゴミ箱に捨てられた缶はトラックで集められて工場へ行きます。工場で缶に残ったジュースを洗い、分別し、溶かして、もう一度作り直します。この間に、コストがたくさんかかるのです。トラックのガソリン代、運転手の給料、洗う水代、溶かすエネルギー代などなど。新品の空き缶が5円ほどかかるのに対し、リサイクルの缶は7円ほどかかります。かかるのはコストだけでなく、エネルギーも同じだけかかるのです。エネルギーやコストという点から、リサイクルはちょっと困ったところもあるのです。
ではリサイクルはしてはいけないのでしょうか?そんなことはありません。リサイクルは大切なことです。けれどもエネルギーがたくさんかかるということも覚えておく必要があるのです。問題は日本では「リサイクルだけ」しかないからです。
では環境先進国ドイツではどのような取り組みが行われているでしょう。ドイツのゴミは日本の10分の1といわれています。どのようにゴミを減らしているのでしょう。リサイクルの頭文字はRです。ドイツにはリサイクルのRのほかに3つもRがあるのです。ほかのRを見てみましょう。
なんども使うことです。リサイクルと違うのは、リサイクルが溶かしたりして一度形を壊してから作り直すのに対して、リユースはそのまま活用することです。チラシの裏紙をメモ用紙にしたり、破れた洋服を雑巾にするのはリユースです。むかしは一升瓶でしょうゆの中身だけを買ったりしていましたが、これがリユースです。
ゴミを減らすことです。ゴミのでない買い方をすることです。冷蔵庫でくさってしまう食べ物をなくす、これもリデュースです。缶ジュースを買わなければ空き缶は出ないので立派なリデュースです。パック売りの商品より、ばら売りの商品を買うのもそうです。
レジ袋は要りません。過剰包装はいりません。ゴミになるものをもらわないことです。 この3つをしたあと、それでも出てくるゴミをリサイクルするのが、ドイツの取り組みなのです。これを4R(4アール)と呼んでいるのです。
ドイツのすごいところは、この4Rを実行しているのが市民だけではないところです。企業も行政も4Rを義務付けられているのです。4Rの法律がある国では、企業は「再使用・再生」の責任があります。空き缶がポイ捨て去れていたら、企業の責任も問われるのです。そこで企業は、製品の材質や形を統一しました。何度も使えるようにしました。商品を買うときに預かり金を取る「デポジット」というシステムをつくり、回収を徹底しました。 家に持ち帰ったゴミは有料になります。ですから市民はコンポストなどで、ゴミを減らし、パックなどゴミの出やすいものを買わずにばら売りの商品を買うようになりました。ゴミのでないものを市民が買いたがるので、お店はゴミの出ない売り方をするようになりました。 行政も4Rにより、「捨てる・埋める」ができにくくなるので、完全分別のシステムをつくるように努力をします。ゴミを焼かないのでダイオキシンは出なくなるのです。
いきなり新しいことばかりで、戸惑ったかもしれません。「そんなにうまくいくはずがない」という方もいるかもしれません。けれどもドイツは徹底しているのに対し、日本はゴミの問題に対してあまりにも無知、無関心なのです。また一部の人はゴミビジネスでお金をもうけているのでゴミを減らしたくないとさえ思っているのです。もしも、皆さんが今日から4R運動をしようと思っても、難しい問題にたくさんぶつかるでしょう。レジ袋を断ると変な顔をされます。スーパーの品物はみなトレーに包まれています。「貧乏くさい」と後ろ指差されることもあるでしょう。 みんな、「ゴミ問題を知らない」ということが原因なのです。
去年、家電リサイクル法というのが、制定されました。これは使えなくなった家電製品を回収するときにお金を取るというものです。捨てるものにお金を払うのはみんないやですから、家電製品の不法投棄が増えました。ドイツはデポジット制です。買うときにお金を払っているので、回収するときにお金をもらえるのです。だから誰も不法投棄しません。 産業廃棄物などのゴミは、人のいない山奥の谷あいに捨てて埋められます。谷あいは沢があって、川に流れ、やがて私たちの飲み水になります。そこにゴミを捨てているのです。ダイオキシンをはじめとした環境ホルモンで汚染された水が私たちの飲み水になるのです。 「そんなばかな!」というかもしれません。その気持ちはよくわかります。けれども考えてみてください。この小さな国に、ヨーロッパの10倍ものゴミを捨てる場所がどこにあるのでしょうか?
日本はその昔、もっとも4Rの進んだ国でした。江戸時代にはわらでぞうりを編み、破れた服をぞうきんにしました。「もったいない、もったいない」といってなんでも大切にしてきました。わたしたちはどこで4Rの心をなくしてしまったのでしょう。 私たちにできること もういちどリサイクルについて考えてみましょう。4Rを勉強しましょう。そしてゴミを減らすためにいったい何が必要なのか、真剣に考えて見ましょう。その気になれば、ゴミはいくらでも減らすことができるのです。 |
日時 2004-9-12 21:42:59 環境コラム: 環境エトセトラ この記事が掲載されているURL: http://www.greenproject.net/modules/wfsection/article.php?articleid=24
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