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 エントロピーで見る環境問題 : [entropy 3]  エントロピーって何? その3
投稿者 river-rat 投稿日時 2003-4-15 12:59:51 (3386 ヒット)        印刷用ページ

八木澤秀記 高千穂大学 理学博士
物理学から見るエネルギー問題・環境問題について研究している。自宅の軽井沢では農業を営み、自然との調和したライフスタイルの実践をしている

 
一般に、廃熱は低温過ぎて新たなエネルギー源にはならない。
熱は示強性の量と云われ、足し算ができない。
どういうことか言うと、100度の湯と別の容器に入っている100度の湯を合わせても200度にはならずに100度のままである。もし足し算ができたらこんな結構な話はない。廃熱を一箇所に集めて地球温暖化を防ぎ、足して高温熱源ができるからエネルギー不足は解消する。石油を求めて理不尽な戦争を仕掛ける「悪の枢軸」も無くなり、平和な世が実現するではないか。
前回にも述べたように、エンジンのような熱機関は高温と低温の2種類の熱源を必要とする。高温側から熱を取って熱の一部を低温側に捨て、差額を熱機関の運転に使う。繰り返すが、低温側に熱を捨てずに「有効利用」することが不可能なことは容易に証明され、理系の大学一年生は必ず学ぶ。だから、エネルギーは使えない低温に捨てられ、エネルギーの劣化は確実に進行する。この意味で(低温)熱はエネルギーの墓場とも言われている。 
即ち、エントロピーは増大する。
エントロピー増大則の別な表現は次のようになる。

★効率100%の機関は存在しない。
 エネルギーの一部はすてられるから。
 
★一つの熱源だけで動く熱機関は存在しない。
 これが存在したらエネルギー問題は解決する。 

空気中または海水中の熱を取ってエネルギーにすれば良い分けだから人類はエネルギー不足から開放される。 現実にそれができない理由は海水や空気より低い熱源を用意しなければならないからである。 それを用意するなら現実のディーゼルエンジンを使った方が遥かに賢明なのだ。
このことは永久機関不可能の原理とも言われるが詳細は省略する。

人類が慎ましい生活をしていた頃のエネルギー使用は持続可能と言える。 生物体だって熱機関である。 食料からエネルギーを摂り、それで活動し、低温の外界に熱を発散させている。 暑いときにクーラーをかけるのは低温熱源を作るため。 生物体は神が創った素晴らしい熱機関だけれども、効率100%は不可能で、熱の一部を捨てなければならない。
アインシュタインが「熱力学法則はあらゆる科学の第一の原理である」と言ったのはこのことを指している。 神もエントロピー増大法則に抗えないのだ。
だから厳密には持続可能なエネルギー使用ではなかったが、エントロピー増大はそれ程大きくはなかったから永続的と見なしてもよかった。
産業革命は環境破壊革命でもあった。エネルギー-消費はは凄まじく、ヨーロッパの森林は次々と消えて行った。 それまでのヨーロッパは深い森林に覆われていて、各民族は森林の中に孤立していた。 外国人を意味するforeigner の語源はforestの向こう側の人である。 
ヨーロッパを旅行して芝と牧草の緑の美しさに感激する人は多いが、これは環境破壊で丸裸になった無残な姿を化粧で誤魔化しただけ。
代わりに石炭に目をつけた。薪と違って石炭は深く掘らなければ得られないから多くの人々の労働力とそのためのエネルギーを必要とした。夕飯のために薪を集めたように、家の周りで石炭を拾い集めるなんてわけには到底いかなくなった。煙の悪臭と大気汚染は19世紀には深刻化した。 大地は無残に掘り返され環境劣化は急速に進行した。 資本家が生まれ、健康と生命の尊さを完全に無視された労働者階級が搾取され放題だった。 あちこちで凄惨な光景が展開された。 ダーウィンが適者生存を思いついたのはロンドンだったかもしれない。少なくとも、強いものだけが生き残れるという進化論は、資本家達に歓迎された。 強い資本家が弱い労働者をこき使うのは自然界の摂理だという理論は、資本家にとってはこの上なく都合が良かった。 「これは神の意思だから諦めろ」と言えば良かったのだ。
(続く)


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