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 GP流NPOマネジメント : VOL5.コンセプトを明確にしよう!
投稿者 river-rat 投稿日時 2004-8-26 22:58:44 (1953 ヒット)        印刷用ページ

ヒロ ヒラタ
エコプチテラス管理人。最近はボランティアが自立してやることがなく、もっぱら回転テーブルでお茶を飲んでいる。エコプチが縁で飼われたモカは、主人より餌をくれるスタッフになついているらしい。

組織としての「軸」を持つ

 組織として成果を挙げ、それを表すことの大切さを前回のコラムで書いたが、組織としての着実な成果を挙げていくために必要なものがある。それは組織としての「軸」を持つことである。
「自分たちの団体はいったい何がやりたいのか?」
「なぜその活動(組織)は必要なのか?」
それらを整理することで「軸」はできる。
「そんなもの持つのは当たり前だろう、思いがあるからグループがあるんじゃないか?」
と思う人がいるかもしれない。そこが落とし穴だ。
 どんな組織だって課題を解決したいとか、こんな社会にしたいとかといった思いは持っている。けれども、それが組織の一人ひとりにまでしっかりと共通したものになっているかと言うと、そうでない場合がけっこうある。個人の思いがぶれたまま放っておくと、結果として組織の「軸」がぶれてしまうということになる。NPOにとって「軸」がぶれてしまうことは、それが魅力で集まっている人材を失うことでもあるから、死活問題である。
 団体崩壊の原因は1番が金銭的なトラブルであるが、2番目はおそらく「軸」がしっかりしていないことから出てくる意見の食い違いだろう。
「軸」のことをコンセプトともいう。
「コンセプトからぶれない」
 これが組織の拠り所となるだけに、明確なコンセプトを打ち出し、それをメンバー全体で共有しつづけることはとても重要だ。
木でたとえると、
  コンセプト=根っこ、事業=幹、戦略=枝葉、成果=果実
にあたる。根っこがしっかりしていないと、少し風が吹いただけで幹(事業)は倒れてしまうし、甘くておいしい果実(成果)を得ることもできない。広く大地を捕まえる根っこ(=コンセプト)がNPOの成長には必要だ。コンセプトは組織の方向性を示すものだけでなく各事業にもあって良いが、大切なのはそれらが終始一貫していることである。

コンセプトを書き出そう

 足立グリーンプロジェクトのコンセプトは「足元から地球環境を考えよう」だ。ただ地球環境を考えるのではなく、「足元から」考えるという部分に組織の重要な「こだわり」が隠されている。
 地球環境というと、どうしても規模が大きすぎて、自分ひとりではどうしようもないとあきらめてしまいがちだ。どこか遠い国の島が沈むとか、どこかの山の氷河が溶けたとか、なんとなく自分の生活とはかけ離れていて上滑りしてしまう。環境を考える講演会や会合に出てもなんとなく難しいし、そもそも考えているだけではなにも始まらないような気がする。もっと目の前からできるもの、できれば日々の生活の中で楽しみながら、実感しながらできるわかりやすいエコ活動はできないのだろうか?
 そういった思いから、ふつうの一般市民が誰もができる小さなエコ活動・身近で楽しい活動を積み重ねていくことで生まれてくる地球環境への取り組みを目指すことがグリーンプロジェクトのコンセプトとなった。
このコンセプトの中には
   1、無理をしないこと
   2、難しくないこと
   3、楽しいこと
   4、適度にこだわること
   5、開かれた活動であり、かつ柔軟な活動であること

といったサブ・コンセプトが含まれている。もともと環境問題にはあまり興味がなく、
「ん、ヒートアイランド?おばさん横文字はわからないからねぇ」
といったボランティアが多数を占めていた組織だっただけに、「楽しみながら結果気づいたらエコ活動だった」といった活動にせざるを得なかったという実情もある。例えばヒートアイランド対策を「足元から」考えるとこんな感じになる。
   おいしいキウイを食べたいから植える
    ↓
   育ててみたら葉っぱが大きくて、日陰になった
    ↓
   キウイ棚の下は日陰になっていて涼しい
    ↓
   それがどうやらヒートアイランド対策であるらしい
    ↓
   おいしいキウイが食べられて涼しくて一石二鳥!

といった具合だ。
「身近なエコ活動」をコンセプトにしたために、例えば「京都議定書についての取り組み」だとか、「環境税の導入を考える」といった「地球規模的な取り組み」には届かない、地道な活動の積み重ねが中心になっている。そのことにあせりや苛立ちも感じてはいるのだが、名刺やパンフレットに書かれた「足元から」という文字を見るたびに、自分たちのすべきことを思い返すようにしている。壁にぶち当たったとき、事業に失敗したとき、うまくいかないとき、自分たちの組織は何がしたいのか、文章に起こしたコンセプトに勇気付けられることもある。

コンセプトにこだわって事業を展開する

 組織のコンセプトがあっても、すべての事業がコンセプトとの整合性をとることは難しいかもしれない。組織運営が継続的なれば、適度な寄り道も必要になる。そのへんの手綱さばきは難しいところだが、なるべくコンセプトからぶれない事業を企画・実施したい。そうすることで、「コンセプト・事業・成果」がキレイな線で結ぶことができる。
 現在、グリーンプロジェクトは主に3つの事業「エコプチ事業」「ジャブジャブ大作戦」「GPWEB運営」を行っているが、そのどれもが組織のコンセプトを意識した活動になっている。例えば、エコプチテラスは「見える・学べる・手が出せる」という事業コンセプトを掲げ、楽しいエコ活動実践の場を提供しているし、ジャブジャブでは「流域住民の意識改革」をテーマに参加型の事業を展開している。各事業のコンセプトは、組織のコンセプトと整合性をもてるようなものになっている。
 これらの事業展開は、あたかも組織立ち上げの段階から練りこんだ「計算どおり」の展開のように見えるが、実際にはいくつもの企画を出しては企画倒れとなり、結果としてぶれないものが残ったというのが実情だ。現場では試行錯誤が常であり、失敗を積み重ねながら作り上げていくことになる。地味な作業であり、答えのないキツイ舵取り作業であるが、やはり体力のない小さな組織が、コンセプトからぶれた事業に手を出したら力は出ないというのが、体験から得た教訓であるように思う。そもそも事業がぶれてしまうようなコンセプトを掲げている時点で、組織としては問題なのかもしれない。
「あれもこれも手を出さない」
 この教訓は、「あれもこれもやりたい」というひらめき的・野次馬的な私が、この数年間で学んだ貴重な経験である。
 コンセプトに沿った事業を展開すれば、たとえ思ったような成果が出なかったとしても、もう一度基本に立ち返ることができる。社会が解決困難な課題に果敢に取り組むNPOに失敗はつき物だ。大切なのは「失敗しないようにすること」ではなく、「失敗してもそれを反省し、再び立ち戻る原点を持っていること」である。


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