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 GP流NPOマネジメント : VOL4.成果を表現する
投稿者 river-rat 投稿日時 2004-8-26 22:58:26 (2549 ヒット)        印刷用ページ

ヒロ ヒラタ
エコプチテラス管理人。最近はボランティアが自立してやることがなく、もっぱら回転テーブルでお茶を飲んでいる。エコプチが縁で飼われたモカは、主人より餌をくれるスタッフになついているらしい。

成果とはなにか?

 現場での活動は楽しい。現場は仲間たちと一緒に汗を流して喜びを共有できるし、活動によって生まれる様々な結果を間近でみることができる。
ところが様々な組織との連携によって活動が成り立っている以上、組織の成果が「がんばっています」という目に見えないものだけでは済まされない場合がどうしても出てくる。
 例えばエコプチテラスは、もともと足立区が区画整理事業用地として確保したものを、テストケースとして暫定的に活用している施設だ。
 「公共の財産を一部の市民が占有することは、公共の原則からはずれるのではないか?」
という指摘に明確に答えられなければ、行政としても説明責任が果たせないし、行政とNPOという異質なセクターによる良好なパートナーシップも成立しない。
 また協賛してくれる企業や、助成金を提供してくれる財団や、労力を提供してくれるボランティアに対し、ただ「ありがとう」で終わってしまっては、継続的な関わりを持ち続けることは難しいだろう。立場の違う個人や組織とパートナーシップを結んでいる以上、活動の成果を一般の人にわかりやすい形で表現し、共有していく必要がある。
 成果とは
「事業を行ったことによりもたらされる、新しい変化・広がり」
である。
 「エコプチができて生きがいになっている」「毎日が楽しくて仕方がない」といったボランティアの感想は、確かに「新しい変化・広がり」のひとつであるが、それではいまいち抽象的・主観的すぎてわかりにくいし、公共性をもった成果とは言いにくい。
 深刻化する環境問題に対する具体的な行動を目的に掲げている我々としては、自己実現が目的の「ボランティアの視点」とはまったく異なる「事務局(=運営者)の視点」から、組織目標に照らし合わせた成果を『検証可能な方法で』示していくことが重要になってくる。

成果を見せる

 成果を第3者にわかるような形でどうやって表現していくか。
 難しく、頭を悩ませるテーマであるが、試行錯誤の中いくつかの指標を設けている。

○ 来園者数(施設の利用頻度)
 回転テーブルにノートがあり、来園者には記帳をお願いしている。7年間立ち入り禁止の看板が掲げられていた荒地が、エコプチ施工によってどれ位利用されているかをデータ化している。ちなみに平成16年7月の月間来園者数は930人で、1日平均30人が利用していることになる。

○ 生ゴミ削減量
 「生ゴミを燃えるゴミとして捨てず、エコ農園に埋めて堆肥にすることで、二酸化炭素排出量を抑えよう」
という目的のもと、生ゴミの計測を行っている。エコプチに生ゴミの入ったバケツを持ってきてもらって計測し、ノートに記録して月ごとに集計を出している。これまで約2年間で5.5トンの生ゴミが削減できた。金額に換算して33万円の税金が節約できたことになる。

○ 財政的な自立性
 空き地のまま放置していた7年間、除草や不法投棄の撤去に毎年60万円の税金がつぎ込まれていた。エコプチができたことで、除草や清掃はすべて我々が行い、無駄な税金が節約できている(余談だが、土地の借地料については、プチテラス事業が区の事業になっており、プチテラス事業のひとつとして管理・運営を行っているので、借地料そのものが発生していない)。柵の整備は区にやっていただいたが、水道の整備、キウイ棚などの構築物の設置は、すべて自己資金で行ったため、「区の財政を軽減しつつ、自立的な管理・運営体制」が整えることができた。

○ ヒートアイランド抑止効果
 東京都立大学・三上岳彦教授の監修のもと、エコプチの気温測定を行った結果、1度から3度の冷却効果があることがわかり、平成16年8月5日のNHK『難問解決!ご近所の底力』で放送された。ヒートアイランド対策として設置されたエコプチだが、三上教授とNHKさんのおかげで、はじめて客観的な効果が証明された。自分の畑に一生懸命水遣りすることで、近所の気温も下げるというまさに一石二鳥の対策である。

表せない成果にこそ価値がある

 以上のようなことが「見せる成果」として、ホームページや資料などで一般に公開されている。これらのデータを公開していることで、エコプチは「ただの農園」「ただの公園」ではないというメッセージを外部に発信し、同時に組織の存在意義を示している。
 正直なところ、様々な数字を引っ張り出してはいるが、それは事務局としての理論武装的・自己防衛的な意味合いが強く、どこか無味乾燥で、現場の様子を反映していないようにも思われる。さらに、こういったデータ集計や成果報告の作成は、かなりの事務量になる反面、現場の活動とはまったく関係ないのでボランティアからしてみれば「別にやらなくてもいい仕事」とすこぶる評価が低いのは悲しいところだ。面白いことに、「見せる成果」を一番理解していないのは、現場で汗を流すエコボランティアたちだ。訪問者が資料を見ながら感心するのを「?」と言った様子で見ている。ただ「現場で活動する人」「活動をまとめる人」といった分業ができていることで、組織は効果的に機能している。
 現場のボランティアにいきいきと活動をしてもらうためにも、ボランティアに誇りを持って活動してもらうためにも、事務局はボランティアの努力の成果を「第3者にどのように見せるか」といったまったく別の視点から戦略を立てることが求められる。
「深刻化する環境問題に対する具体的な行動」という目標にどのようなアプローチをし、どの程度近づけたのかを表現する方法を、事務局は事業企画の段階からイメージすることを心掛けている。


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