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 GP流NPOマネジメント : VOL6.NPOの資源とは何か?
投稿者 river-rat 投稿日時 2004-9-3 9:56:55 (1963 ヒット)        印刷用ページ

ヒロ ヒラタ エコプチテラス管理人。最近はボランティアが自立してやることがなく、もっぱら回転テーブルでお茶を飲んでいる。エコプチが縁で飼われたモカは、主人より餌をくれるスタッフになついている。

立ち上げが一番苦しい資金調達

 「先立つもの(=お金)をどうするか」
 どんな組織でも、立ち上げのときに一番悩むのが資金の問題だ。仲間もいない、実績もない、お金もないなかで、やる気だけが空回りしてしまいがちな立ち上げの段階は、ちょうど飛行機の離陸のように不安定なものである。
 だいたいこういった活動をはじめようとした場合、活動が軌道に乗るまでは言い出しっぺが自腹を切ることが多い。自腹を切る金額や、その頻度によっては、
 「こんなことやるって言わなきゃよかった」
と後悔するハメに陥る場合もある。エコプチを整備するときも、キウイ棚設置費用と水道整備費用などに計200万円かかりそうだと見積もられ、
 「もしかしてこれって全部自腹?」
と、一瞬青くなったのを憶えている。
「社会の課題を解決するんだ!」などとデカイことを言ったために高くついた、と後悔することのないように、活動資金をどうやって確保するかを考えておくことは、組織の大きさに関わらず重要な要素だ。

市民活動の資金

 組織を運営するためには様々な費用が発生する。仲間に計画を伝えるための資料代、会議の際のお茶代など、細々としたことにもお金はかかる。事業を企画したり、助成金を申請したりするためには、勉強するための書籍代やほかの場所へ見学にいく視察費なども必要だし、ボランティアをねぎらい、癒し、育てるための費用も必要になる。ましてエコプチのような施設を管理・運営するとなれば、草を刈る鎌や桑などの農具、肥料や種、協賛金を出してくれている企業への機関紙の発送など、様々な経費が積み重なると結構な金額になる。それらをすべて持ち出しにしていては、とても継続した組織運営は望めない。
 これらの費用をまかなうために、組織としての収入を確保する体制を整えなければならない。
NPOにおける資金源は、大きく分けて次の5つになる。


1、会費  → 年会費など。定期的な収入として期待できる半面、手間がかかる
2、寄付  → 企業からの協賛金など。定期的な収入としては期待できない
3、事業収入→ 物品の販売、バザーなど。コストとリスクが存在する。
4、助成金 → 使用目的が限定されていることが多い。
5、委託  → 事業内容などを変更することは難しい。


 5つの資金源は、「自由度」と「調達効率」という点から段階的にみることができる。資金が自由に使えるという点で見ると、会費・寄付が比較的使いやすく、助成金・委託は目的外に使用することは難しい。また効率の点から見ると、書類での申請やプレゼンテーション、競争入札などで獲得できる委託や助成金に比べて、事業収入や寄付は調達が不安定だったり、集めるのに時間と手間がかかったりする。大切なのは、これらの特性を理解し、ひとつの資金源のみに依存せず資金源を分散させることだ。
 ちなみにグリーンプロジェクトでは、1・2・3・4の資金源から構成されている。エコプチの施設整備には120万円の寄付金(企業からの協賛金)と30万円の助成金(財足立区まちづくり公社)でまかない、年間の運営は会費(エコ農園利用料)と事業収入(アルミ缶リサイクルなど)でまかなわれている。協賛金を予想以上に集めることができたため、奇跡的に初年度から黒字経営ができている。
 組織の立ち上げ時期に資金源としてまず考えるのは会費だと思うが、会費というのは集めるのが意外と難しい。会費を高く設定すれば、「会費を払っただけの見返りはあるのか」と参加者は結構シビアな目で見てくる。定期的なイベントの実施や、充実した機関紙の発行、魅力的な目標の設定など、惹きつける「売り(コンテンツ=内容)」が必要だ。エコプチの場合は「エコ農園」という「売り」があるため、参加者を継続して集めることができている。
 資金源のバランスと軸となる会費を継続的に確保するための「売り」の充実が、資金確保の鍵となる。


NPOにとっての資金とは何か?

 ところでNPOにとっての資金とは何なのだろうか?
 これまでいくつか事業の立ち上げに関わってきた経験から、「お金」とは必ずしも活動において「不可欠なもの」ではないのかな、という感想を持ち始めている。
「NPOは資金不足だ」
というのが定説になっているためあまり大きな声で言えないのだが、正直お金がなくてどうしようもなく困ったという経験はあまりしたことがない。これは基本的に人件費がゼロで、役員含め全員がボランティアで活動している組織であるせいでもある。もっと規模の大きな組織ならばそうはいかないかもしれないが、私たちのような小さな組織では、「アイディア・工夫・ボランティア・コネ」といったものがお金の代わりになってくれることが多い。
 市民社会という土俵で活動しているNPOにとって「お金に代わる何か」はとても貴重な資源だ。それを有効に活用する経営を考える必要がある。行政や企業では活用できない「独占市場」を有効に活用してこそ、はじめて対等に渡り合える可能性が生まれるのではないだろうか?
 「お金に代わる経営資源」としては人・モノ・情報・組織の目的・ネットワークの5つが考えられる。


1、人 → 無償スタッフの獲得。活動に共感し参画してくれる人材の確保

世の中には、技術や時間を持ち、人の役に立ちたいという人はたくさんいる。その人たちに共感してもらえるような仕掛けができれば、人材を集めることも可能になる。

2、モノ → 用具や設備を無償または安価で提供してもらうことは可能か?

会社でいらなくなった備品、家で使わなくなった道具など、モノに溢れるこの時代にあって様々なものは手に入れることができる。必要なものを書き出してみよう。

3、情報 → 社会のできごとや他の事例の研究、活躍する人との交流

情報には発信と受信がある。自分たちが持っている情報を積極的に発信と同時に、他の組織の事例や社会のできごとを積極的に集める努力をしたい。

4、組織の目的 → 共感と参画を呼び起こす明確なコンセプトが打ち出せているか

GP流マネジメントVOL.5「コンセプトを明確にしよう」で解説したように、コンセプト自体が組織の資源になる。

5、ネットワーク → 一緒に協力できる仲間作り

ひとつの組織では難しいことも、複数の個人や団体がつながることで大きな力を出すことができる。自分の強み・弱みを伝え、互いを活かしあえる関係作りが大切だ。

 以上のように「お金に代えることのできる」5つの経営資源をフルに活用すれば、お金が必要な場面は減ると同時に、かなりダイナミックな事業を展開することができるだろう。逆にお金以外の経営資源に目が行かないようでは、活動を活性化するのは苦しいかもしれない。


「環境対策はお金を生まない」

 私たちが6つの資源の重要性に気づいたのは「環境はお金を生まない」という結論にたどりついたからだ。環境問題を経済性で見たときに、対策には莫大なコストがかかるが、それに見合うリターンはない。コストとリターンのバランスが取れなければ、それが企業であれNPOであれ組織を継続的に運営することはできない。
 かといって我々は素人集団だから、企業のように大規模な資金を投入して商品を開発し、事業を拡大して収益を上げていくといったような専門性は持ち合わせていない。お金が活動のよりどころである限り、私たちの活動は壁を越えられなくなってしまう。
 そのような現実から導き出された答えは
「お金に依存しない組織作り」
であった。
「金がないなら知恵を出せ、それでもダメなら人情だ!」
あるテレビドラマでそんな台詞を言った役者がいたが、仲間との助け合いやつながりを最も重要な資源とすることで、自分たちの力が一番発揮されることを自覚した。拾ってきた廃材で机といすを作り、丸太で花壇を作り、いらなくなった耕耘機を修理して使う。何もないところから知恵と工夫とネットワークで「癒しの手作り空間」を作り上げ、そのプロセスにおいてボランティアとして成長を促している。
がんばったボランティアへのお礼や報酬も、野菜だったり、ありがとうだったり、自分の写真が新聞に載ることだったりと「お金以外の多様な報酬」で還元している。
それともうひとつ重要なことは、私たちの活動は
「土に依存している」
ということだ。ゴミを生めて土を作り、そこに種をまく。芽が出て大きな実となり収穫の喜びを与えてくれる。土という惜しみなく提供してくれる「恵み」に私たちの活動は依存している。環境はお金を生まないが、土は命の感動を生む。そして「土」という資源に依存している私たちの活動は、土が恵みを与えてくれる限り困ることはない。
 自分たちの強みと弱みを自覚し、自分たちの「型」を作り上げることに、私たちは成功しつつある。そして「足元」に依存した経営資源の獲得に、現段階では成功している。
 みなさんの足元にも、きっと経営資源は眠っているはずだ。それを見つけ出す鼻と、掘り起こす腕を身につければ、目の前は大きく開けてくるだろう。


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